東京地方裁判所 昭和60年(特わ)3553号 判決
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官江川功出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
一 被告人栄信観光有限会社を罰金一七〇〇万円に
被告人株式会社亀有ビルを罰金一〇〇〇万円に
被告人仙台第一観光有限会社を罰金四三〇〇万円に
被告人有限会社仙台中央観光を罰金一六〇〇万円に
被告人明星観光株式会社を罰金一六〇〇万円に
被告人株式会社阪神企画センターを罰金三四〇〇万円に
被告人第一観光有限会社を罰金九五〇万円に
被告人ダイヤ観光株式会社を罰金一三〇〇万円に
被告人瀬川重雄を懲役二年に
被告人石飛洸を懲役一年に
それぞれ処する。
二 被告人石飛洸に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人栄信観光有限会社(以下「被告人会社栄信観光」という)は、東京都新宿区新宿二丁目一九番一一号に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金八〇〇万円の有限会社、被告人株式会社亀有ビル(昭和五九年一一月二三日以前の商号は株式会社亀有トルコセンター・以下「被告会社亀有ビル」という)は、同都葛飾区亀有三丁目四番二号に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金一五〇万円の株式会社、被告人仙台第一観光有限会社(以下「被告会社仙台第一観光」という)は、同都目黒区大橋二丁目一六番二四―二〇三号に本店を置き、特殊公衆浴場及びホテルの経営等を目的とする資本金一五〇〇万円の有限会社、被告人有限会社仙台中央観光(以下「被告会社仙台中央観光」という)は、宮城県仙台市一番町四丁目五番一三号(昭和六一年一月七日以前は広島市中区本通八番二四号・昭和五八年五月二四日以前は同市西区南観音町一番一〇―五〇三号・昭和五七年三月三一日以前は宮城県仙台市一番町四丁目五番一三号)に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金八〇〇万円の有限会社、被告人明星観光株式会社(以下「被告会社明星観光」という)は、兵庫県姫路市立町八一番地(昭和五九年九月二二日町名地番変更前は同市新身町五番地)に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金一五〇〇万円の株式会社、被告人株式会社阪神企画センター(昭和五六年九月三〇日以前は株式会社阪神トルコセンター・以下「被告会社阪神企画センター」という)は、兵庫県尼崎市東難波町五丁目一七番三六号に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金一八〇〇万円の株式会社、被告人第一観光有限会社(以下「被告会社第一観光」という)は、福井県福井市中央一丁目二二番一二号に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金九〇〇万円の有限会社、被告人ダイヤ観光株式会社(以下「被告会社ダイヤ観光」という)は、三重県四日市市西新地五番一一号(昭和五九年二月一七日以前は愛知県一宮市栄二丁目二番五号)に本店を置き、特殊公衆浴場の経営等を目的とする資本金七〇〇万円の株式会社、被告人瀬川重雄は、被告会社八社の実質経営者(被告会社栄信観光については昭和五四年六月二〇日から同五五年七月一一日までの間、被告会社明星観光については昭和五五年六月二六日から同五八年五月二日までの間それぞれ代表取締役)としてこれら被告会社の業務全般を統括していた者、被告人石飛洸は、被告人瀬川を補佐し、被告会社八社の経理全般を統括しこれら各社の決算等の事務を担当していた者であるが、被告人瀬川、同石飛は共謀のうえ、被告会社八社の業務に関し、それぞれ法人税を免れようと企て、売上を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一
一 昭和五五年六月一日から同五六年五月三一日までの事業年度における被告会社栄信観光の実際所得金額が八〇六二万五五四四円(別紙(1)の1修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年七月一五日、東京都新宿区三栄町二四番地所在の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、その欠損金が一四三〇万三七八五円で納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和六〇年押第一六三九号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三二九〇万二五〇〇円(別紙(9)ほ脱税額計算書参照)を免れ
二 昭和五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度における被告会社栄信観光の実際所得金額が七三〇九万四二七八円(別紙(1)の2修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年七月三一日、前記四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三八五万三九九七円でこれに対する法人税額が一一五万五九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二九七三万九四〇〇円と右申告税額との差額二八五八万三五〇〇円(別紙(9)ほ脱税額計算書参照)を免れ
第二
一 昭和五六年一月一日から同五六年一二月三一日までの事業年度における被告会社亀有ビルの実際所得金額が四〇四三万一四〇九円(別紙(2)の1修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年二月一六日、東京都葛飾区立石六丁目一番三号所在の所轄葛飾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三八万四〇八六円でこれに対する法人税額が一一万五〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一六〇二万九〇〇円と右申告税額との差額一五九〇万五九〇〇円(別紙(10)ほ脱税額計算書参照)を免れ
二 昭和五七年一月一日から同五七年一二月三一日までの事業年度における被告会社亀有ビルの実際所得金額が五一〇二万八九五円(別紙(2)の2修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五八年二月二八日、前記葛飾税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四〇一万一八四〇円でこれに対する法人税額が一二〇万三三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の4)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額二〇四六万八四〇〇円と右申告税額との差額一九二六万五一〇〇円(別紙(10)ほ脱税額計算書)を免れ
第三
一 昭和五五年九月一日から同五六年八月三一日までの事業年度における被告会社仙台第一観光の実際所得金額が一億九二六三万六八九九円(別紙(3)の1修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年一〇月三〇日、東京都目黒区中目黒五丁目二七番一六号所在の所轄目黒税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五六万五七三九円でこれに対する法人税額が一六万九五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の5)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七九九四万七一〇〇円と右申告税額との差額七九七七万七六〇〇円(別紙(11)ほ脱税額計算書参照)を免れ
二 昭和五六年九月一日から同五七年八月三一日までの事業年度における被告会社仙台第一観光の実際所得金額が一億七八三〇万四二一七円(別紙(3)の2修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年一〇月二六日、前記目黒税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇九五万一一四円でこれに対する法人税額が三六三万四八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の6)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額七三九二万三四〇〇円と右申告税額との差額七〇二八万八六〇〇円(別紙(11)ほ脱税額計算書参照)を免れ
第四
昭和五六年三月一日から同五七年二月二八日までの事業年度における被告会社仙台中央観光の実際所得金額が一億四二一七万五三四円(別紙(4)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年四月三〇日、宮城県仙台市中央四丁目五番二号所在の所轄仙台中税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七八八万四九四八円でこれに対する法人税額が二三六万一〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の7)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五八七四万七二〇〇円と右申告税額との差額五六三八万六二〇〇円(別紙(12)ほ脱税額計算書参照)を免れ
第五
昭和五五年九月一日から同五六年八月三一日までの事業年度における被告会社明星観光の実際所得金額が一億三七八五万五六九七円(別紙(5)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年一〇月三一日、兵庫県姫路市北条字中道二五〇番地所在の所轄姫路税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零円で納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額五六八七万六五〇〇円(別紙(13)ほ脱税額計算書参照)を免れ
第六
一 昭和五六年二月一日から同五七年一月三一日までの事業年度における被告会社阪神企画センターの実際所得金額が九八八八万三〇九八円(別紙(6)の1修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年三月三一日、兵庫県尼崎市西難波町一丁目八番一号所在の所轄尼崎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が八八〇万一六四四円でこれに対する法人税額が二七三万六四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四〇五七万八〇〇円と右申告税額との差額三七八三万四四〇〇円(別紙(14)ほ脱税額計算書参照)を免れ
二 昭和五七年二月一日から同五八年一月三一日までの事業年度における被告会社阪神企画センターの実際所得金額が二億八三八万六八四五円(別紙(6)の2修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五八年三月三一日、前記尼崎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一五二六万二九五八円でこれに対する法人税額が五四五万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額八六五六万二一〇〇円と右申告税額との差額八一一一万二一〇〇円(別紙(14)ほ脱税額計算書)を免れ
第七
昭和五六年三月一日から同五七年二月二八日までの事業年度における被告会社第一観光の実際所得金額が八三一八万九五一九円(別紙(7)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五七年四月三〇日、福井県福井市春山一丁目六番一号所在の所轄福井税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零円で納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額三三九七万八七〇〇円(別紙(15)ほ脱税額計算書参照)を免れ
第八
昭和五七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社ダイヤ観光の実際所得金額が一億九八〇万八三六九円(別紙(8)修正損益計算書参照)があったのにかかわらず、同五八年二月二八日、三重県四日市市西浦二丁目二番八号所在の所轄四日市税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が零円で納付すべき税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四五一五万九三〇〇円(別紙(16)ほ脱税額計算書参照)を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告人瀬川、同石飛の当公判廷における各供述
一 被告人瀬川の検察官に対する昭和六〇年一一月一九日付、二三日付、二四日付、二五日付、二八日付(二通)、二九日付(四通)、三〇日付、一二月二日付、三日付、四日付(二通)、五日付(二通)、六日付(二通)各供述調書
一 被告人石飛の検察官に対する同年一一月一八日付、一九日付、二五日付、一二月一日付、二日付(全一六丁分)、三日付(二通)四日付(全六丁分)各供述調書
一 埜邑政儀(一〇通・同年一一月一八日付、一九日付、二二日付、二五日付、二七日付全一五丁分、三〇日付全八丁分、一二月一日付、二日付全四丁分、四日付、五日付)、川越栄子(五通)、山田一夫(七通・同年一一月六日付、一八日付、二四日付、二七日付二通、一二月三日付、五日付全三丁分)、瀬川愉美子(二通・各同年一一月三〇日付)、小倉佳子、西永静子の検察官に対する各供述調書
一 検察官小野拓美作成の捜査報告書
判示第一の二、第三の二及び第七の事実につき
一 検察官江川功、検察事務官井出光男(昭和六一年五月一二日付)作成の各捜査報告書
判示第一及び第二の各一、二の事実につき
一 左昌益、佐藤重雄の検察官に対する各供述調書
判示第一及び第二の各一の事実につき
一 検察事務官井出光男作成の昭和六一年四月一〇日付捜査報告書
判示第一及び第六の各一、二の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一二月二日付(全六丁分)供述調書
判示第三全部及び第四の各事実につき
一 瀬川愉美子(昭和六〇年一一月二八日付)、金野利隆の検察官に対する各供述調書
判示第五及び第七の事実につき
一 伊藤美由紀及び魚岡定信の検察官に対する各供述調書
判示第六全部及び第七の事実につき
一 蔵田金兵衛の検察官に対する供述調書
判示第一全部の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月二八日付(全一八丁分)供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月二六日付全四一丁分)、松村光石、重田忠久、中司康政、松原秀三、山田孝義、椙山時彦の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社栄信観光に関する次の調査書
売上高調査書
役員報酬調査書
従業員給与手当調査書
退職金調査書
福利厚生費調査書
衛生費調査書
雑費調査書
一 被告会社栄信観光の登記簿謄本
判示第一の一の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一二月四日付(全七丁分)供述調書
一 収税官吏作成の被告会社栄信観光に関する次の調査書
減価償却費調査書
当期欠損金額調査書
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和六〇年押第一六三九号の1)
判示第一の二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一綴(前同押号の2)
判示第二全部の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月三〇日付(全一四丁分)供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月二六日付全三七丁分)、山田潔(同年一一月一一日付)、太郎浦淳夫、李鐘和、瀬尾幸子、榧場兵治、鎌倉茂、鎌倉親司、吉村武の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社亀有ビルに関する次の調査書
売上高調査書
従業員給与手当調査書
退職金調査書
福利厚生費調査書
不動産賃借料調査書
修業費調査書
衛生費調査書
雑費調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社亀有ビルに関する分)
判示第二の一の事実につき
一 収税官吏作成の被告会社亀有ビルに関する欠損金の当期控除額調査書
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の3)
判示第二の二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の4)
判示第三全部の事実につき
一 被告人瀬川(昭和六〇年一二月一日付)、同石飛(同年一一月二七日付、二九日付全四丁分)の検察官に対する各供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月二七日付全四七丁分)、星信雄、山田潔(三通・同年一一月一二日付全二三丁分、一三日付、昭和五九年七月七日付)、佐久間照子、瀬川愉美子(昭和六〇年一二月五日付)、西永福美、児玉秀隆、西村善昭の検察官に対する各供述調書地
一 収税官吏作成の被告会社仙台第一観光に関する次の調査書
売上調査書
売上(ホテル)調査書
給料手当調査書
退職金調査書
福利厚生費調査書
地代家賃調査書
租税公課調査書
雑費調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社仙台第一観光に関する分)
判示第三の一の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の5)
判示第三の二の事実につき
一 押収してある法人税確定申告書一袋(前同押号の6)
判示第四の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月三〇日付(全九丁分)供述調書
一 埜邑政儀(二通・同年一一月二六日付全三五丁分、一二月二日付全五丁分)、渡邉有(二通)、片上清、結城正子の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社仙台中央観光に関する次の調査書
売上調査書
売上(渡辺メモ)調査書
給料手当調査書
福利厚生費調査書
地代家賃調査書
租税公課調査書
退職金調査書
店長修業費調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社仙台中央観光に関する分)
一 押収してある法人税確定申告書(前同押号の7)
判示第五の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月二八日付(全一二丁分)供述調書
一 埜邑政儀(二通・同年一一月二八日付、一二月六日付)、山田一夫(同年一二月五日付全一六丁分)、岡峰夫、青山南奈子(二通)、笹山宏二郎、岡田穣治、児玉元雄の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社明星観光に関する次の調査書
売上調査書
簿外給料調査書
簿外退職金調査書
簿外福利厚生費調査書
簿外雑費調査書
繰越欠損金調査書
寄付金の損金不算入額調査書
一 大蔵事務官大塚慎一作成の証明書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社明星観光に関する分)
判示第六全部の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月三〇日付(全一三丁分)供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月三〇日付全六一丁分)、土屋利夫、山田潔(同年一一月一二日付全一八丁分)、加藤義雄(二通)、大塚金栄の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社阪神企画センターに関する次の調査書
売上調査書
簿外役員報酬調査書
簿外給料調査書
簿外福利厚生費調査書
簿外退職金調査書
簿外雑費調査書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社阪神企画センターに関する分)
判示第六の一の事実につき
一 大蔵事務官松谷理作成の証明書(昭和五七年一月期)
判示第六の二の事実につき
一 大蔵事務官松谷理作成の証明書(昭和五八年一月期)
判示第七の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月二八日付(全一五丁分)供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月二七日付全四五丁分)、久古竹男、守田義郎、岩本京子、佐間隆、西宮勲(二通)、海内洋之の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社第一観光に関する次の調査書
売上調査書
従業員給料手当調査書
福利厚生費調査書
退職金調査書
租税公課調査書
雑費調査書
繰越欠損金当期控除額(P/L)調査書
一 大蔵事務官尾崎守作成の証明書
一 福井法務局首席登記官作成の回答書
判示第八の事実につき
一 被告人石飛の検察官に対する昭和六〇年一一月二九日付(全一〇丁分)、一二月四日付(全三丁分)各供述調書
一 埜邑政儀(同年一一月二九日付)、西村新一郎、松本昭彦、森信一、萩原明(二通)の検察官に対する各供述調書
一 収税官吏作成の被告会社ダイヤ観光に関する次の調査書
査察官調査書(売上)
査察官調査書(役員報酬手当)
査察官調査書(従業員給料手当)
査察官調査書(退職金)
査察官調査書(旅費交通費)
査察官調査書(地代家賃)
査察官調査書(福利厚生費)
査察官調査書(雑費)
査察官調査書(繰越欠損金当期控除額)
一 大蔵事務官中根好作成の証明書
一 検察事務官作成の捜査報告書(被告会社ダイヤ観光に関する分)
(法令の適用)
一 罰条
各被告会社につき、法人税法一六四条一項、一五九条一項(判示第二の一の罪以外の各罪につきさらに同法一五九条二項)、被告人両名につき、刑法六〇条、法人税法一五九条一項(被告人石飛につきさらに刑法六五条一項)
一 刑種の選択
被告人両名につき懲役刑選択
一 併合罪の処理
被告会社栄信観光、同亀有ビル、同仙台第一観光、同阪神企画センターにつき、刑法四五条前段、四八条二項、被告人両名につき、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(被告人両名につき犯情の最も重い判示第六の二の罪の刑に加重)
一 刑の執行猶予
被告人石飛につき刑法二五条一項
(量刑の理由)
本件は、特殊浴場を営むいわゆる瀬川グループ関連八会社の約二年八か月間における延べ一二事業年度の法人税ほ脱の事案であって、その法人税ほ脱額は合計五億五八〇〇万円余と巨額であり、ほ脱率もそれぞれ約九三パーセントないし一〇〇パーセントと高率であって、犯情の甚だ悪質な大規模脱税事犯である。
本件各被告会社の実質的経営者である被告人瀬川は、昭和四六年ころ郷里の広島県下においてクリーニング業、貸ビル業等を営むかたわら、特殊浴場を手掛けて成功したのをきっかけに、昭和五〇年以降全国各地で次々と特殊浴場を営む会社を設立したり買収したりして事業を拡大し、部下や知人を名目上の代表取締役に就け、自らはできるだけ会社の表面にでないようにして、これらの会社の業務全般を統括していたものであるところ、特殊浴場の経営を始めた当初から税金を正当に納める気持は全くなく、各浴場ごとの売上げを示すリスト表等の資料を廃棄するとともに、税申告の仕事をしていた被告人石飛に対し極力税額を低くするよう指示し、売上げを除外する方法で脱税行為を継続していたのであり、特に昭和五五年ころからは都内のマンションで被告人石飛らをして脱税のための経理、決算の事務に専従させ、昭和五七年五月ころからは同被告人が設立した有限会社新友企画において同様の事務をさせていたのであって、本件はまさに組織的、計画的、継続的な犯行と認められ、被告人瀬川の納税意識の希薄さには顕著なものがある。さらに本件各会社の金員の取扱い状況をみても、被告人瀬川は、自らもしくは義弟らを使って各会社の売上げ金を残らず集め、これを区別することなく自己のマンションの金庫に保管し、他人には全く関与させず自己の裁量で、各会社の経費や事業拡張の資金に使用したほか、相当多額の金員を家族や愛人の生活費、遊興飲食費、マンション購入費、海外旅行費等個人的用途のために費消(なお同被告人の当公判廷における供述中には、ハワイ旅行に使用した費用の一部は会社のための支出であるかの如く述べる部分があるが、これは同被告人の検察官に対する昭和六〇年一一月二五日付及び同月二八日付本文三一丁分の各供述調書の内容に照らし信用できない)しているのであって、これからみると、本件は私利、私欲にもとづく犯行として、動機の点においても酌むべき事情に乏しいといわなければならない。
一方、被告人瀬川のもとで本件各被告会社の経理全般を統括していた被告人石飛は、広島市内で経理関係の事務に従事していた昭和四五、六年ころ被告人瀬川と知合い、昭和五〇年ころ同被告人の経営する特殊浴場の会社の決算事務を手伝ったことから、その経験を買われ、月々報酬を得て同被告人の事業に関与するようになり、一時期同被告人が各地で拡張していった特殊浴場経営のための土地建物の買収等の仕事に従事したほか、継続して同被告人の指示に従い関係会社の決算事務を一手に引受け、脱税のための実務面を担当していたものであり、前記のとおり新友企画を設立して代表取締役に就任したのちもその実質は変らず、専ら被告会社の脱税のための経理、決算の事務に従事していたものである。
以上のとおり、被告人瀬川は、各被告会社の実質経営者として本件犯行を企画し、強く推進継続してきた主導者としてその刑責は重いといわなければならず、他面、有利に斟酌すべき情状として、脱税の態様自体は大胆とはいえ複雑巧妙とまではいえないこと、被告会社の本件事業年度の法人税に尽き修正申告をして本税、附帯税をすべて納め、地方税の納付が若干残っているのみであること、捜査段階から終始事実を認め反省の態度を示していること、特殊浴場の経営から身を引く決意で被告会社を含め関係各会社の処分を進め、既に大半の売却を終え、貸ビル、貸駐車場業への転進を図っていること、その他被告人の生い立ち、家族の状況等の諸事情が存するが、これらを総合考慮し、同被告人に対し主文のとおり量刑する。
被告人石飛については、被告人瀬川の意を体し、各被告会社の脱税のための経理、決算の事務に専従し、本件犯行を実際面から支えていた者で、その刑責は軽くなく、古いとはいえ前科歴があることも無視し得ないが、被告人瀬川から毎月三〇万ないし五〇万というさほど多くない報酬を受けて本件に関与していたに過ぎず、同被告人の刑責に比すれば相当その程度は軽いと認められること、今後同被告人の許を離れ、経理事務、貸アパート業などで生計を立てる考えであり、もとより反省の態度も顕著であること、被告人石飛の年令、家庭の状況等を考慮すると、被告人石飛に対しては刑の執行を猶予するのが相当であると考えられ、主文のとおり量刑する。
(求刑 被告会社栄信観光罰金二〇〇〇万円、同亀有ビル罰金一〇〇〇万円、同仙台第一観光罰金五〇〇〇万円、同仙台中央観光罰金一八〇〇万円、同明星観光罰金一八〇〇万円、同阪神企画センター罰金四〇〇〇万円、同第一観光罰金一〇〇〇万円、同ダイヤ観光罰金一五〇〇万円、被告人瀬川懲役三年、同石飛懲役一年)
(裁判長裁判官 小泉祐康 裁判官 田尾健二郎 裁判官 鈴木浩美)
別紙(1)の1 修正損益計算書
栄信観光有限会社
自 昭和55年6月1日
至 昭和56年5月31日
<省略>
別紙(1)の2 修正損益計算書
栄信観光有限会社
自 昭和56年6月1日
至 昭和57年5月31日
<省略>
別紙(2)の1 修正損益計算書
株式会社 亀有ビル
自 昭和56年1月1日
至 昭和56年12月31日
<省略>
別紙(2)の2 修正損益計算書
株式会社 亀有ビル
自 昭和57年1月1日
至 昭和57年12月31日
<省略>
別紙(3)の1 修正損益計算書
仙台第一観光有限会社
自 昭和55年9月1日
至 昭和56年8月31日
<省略>
別紙(3)の2 修正損益計算書
仙台第一観光有限会社
自 昭和56年9月1日
至 昭和57年8月31日
<省略>
<省略>
別紙(4) 修正損益計算書
有限会社仙台中央観光
自 昭和56年3月1日
至 昭和57年2月28日
<省略>
別紙(5) 修正損益計算書
明星観光株式会社
自 昭和55年9月1日
至 昭和56年8月31日
<省略>
別紙(6)の1 修正損益計算書
株式会社 阪神企画センター
自 昭和56年2月1日
至 昭和57年1月31日
<省略>
別紙(6)の2 修正損益計算書
株式会社 阪神企画センター
自 昭和57年2月1日
至 昭和58年1月31日
<省略>
別紙(7) 修正損益計算書
第一観光有限会社
自 昭和56年3月1日
至 昭和57年2月28日
<省略>
別紙(8) 修正損益計算書
ダイヤ観光株式会社
自 昭和57年1月1日
至 昭和57年12月31日
<省略>
別紙(9) ほ脱税額計算書
会社名 栄信観光有限会社
(1) 自 昭和55年6月1日
至 昭和56年5月31日
<省略>
(2) 自 昭和56年6月1日
至 昭和57年5月31日
<省略>
別紙(10) ほ脱税額計算書
会社名 株式会社 亀有ビル
(1) 自 昭和56年1月1日
至 昭和56年12月31日
<省略>
(2) 自 昭和57年1月1日
至 昭和57年12月31日
<省略>
別紙(11) ほ脱税額計算書
会社名 仙台第一観光有限会社
(1) 自 昭和55年9月1日
至 昭和56年8月31日
<省略>
(2) 自 昭和56年9月1日
至 昭和57年8月31日
<省略>
別紙(12) ほ脱税額計算書
会社名 有限会社 仙台中央観光
自 昭和56年3月1日
至 昭和57年2月28日
<省略>
別紙(13) ほ脱税額計算書
会社名 明星観光株式会社
自 昭和55年9月1日
至 昭和56年8月31日
<省略>
別紙(14) ほ脱税額計算書
会社名 株式会社 阪神企画センター
(1) 自 昭和56年2月1日
至 昭和57年1月31日
<省略>
(2) 自 昭和57年2月1日
至 昭和58年1月31日
<省略>
別紙(15) ほ脱税額計算書
会社名 第一観光有限会社
自 昭和56年3月1日
至 昭和57年2月28日
<省略>
別紙(16) ほ脱税額計算書
会社名 ダイヤ観光株式会社
自 昭和57年1月1日
至 昭和57年12月31日
<省略>